【3月25日 AFP】カナダ当局は24日、東北地方太平洋沖地震による津波で流された日本の漁船が、カナダ西部沖を漂流しているのが見つかったと発表した。

 カナダ運輸省報道官はAFPの取材に、航空調査の結果、漁船には誰も乗船していないことが確認されたと語った。

■バンクーバーの北1500キロを漂流

 全長65メートルの同漁船は、定期監視パトロール中のカナダ空軍機が20日に発見した。

 軍が撮影した写真には、クイーンシャーロット諸島(Haida Gwaii)の南岸278キロ、バンクーバー(Vancouver)のおよそ北1500キロを漂流する漁船がとらえられていた。船体はさびついているものの大きな損傷はない。

 カナダ運輸省は声明で「同船舶は航行の障害と考えられている」と述べ、海洋汚染を起こさないか監視中だと付け加えた。

■漂流物の北米到達、13年初頭に

 日本から太平洋を超えて北米に漂流した漂流物は、この漁船が初めて。

 津波による漂流物は13年初頭に北米西岸に到達する見通しで、ハワイ(Hawaii)州の海洋研究者らは監視を続けている。これまでにも日本の瓶などが漂流しているのが見つかっているが、津波で流されたものかどうかは分かっていない。

 昨年秋には、福島県から流された全長20フィート(約6.1メートル)の小型漁船が、北米大陸からは遠く離れたミッドウェー環礁(Midway Atoll)で、ロシアの漁船により発見されている。

 カナダ西岸のブリティッシュコロンビア(British Columbia)州と米国西岸のワシントン(Washington)州、オレゴン(Oregon)州、カリフォルニア(California)州は今月初頭、沿岸部に漂着した漂流物の協調管理で合意し、感情的価値のある漂流物については日本に返却することで合意した。

 海洋問題に関心を寄せる米ワシントン州選出のマリア・カントウェル(Maria Cantwell)上院議員は声明を発表し、今週発見された日本の漁船はあと50日間は陸地に接近しない見込みだと述べた。(c)AFP

【関連記事】被災漁船が漂流か、東北から3100キロの太平洋上で発見