【3月6日 AFP】国連(UN)は5日、東日本大震災をはじめとする世界各国の災害による被害総額は、史上最高規模の3800億ドル(約31兆円)以上に達すると発表した。

 各国が死者数の確定を進めるなか、マルガレータ・ワルストロム(Margareta Wahlstrom)国連事務総長特別代表(防災部門)は、経済的損失はこれまでにない規模で拡大しており、この額は「最低」予想額にすぎないと述べた。

 今回、東日本大震災とニュージーランドでの地震、タイなどで起きた洪水により被害総額は激増。同代表は東日本大震災1周年を前にした記者会見で、「地震は損失額が最も大きく、また死者も最多となる災害だ」と語った。

 国連防災部門によると、津波や福島第一原子力発電所の事故を併発した東日本大震災の被害額は2100億ドル(約17兆円)以上で、タイで起きた洪水の被害額は400億ドル以上(約3兆2000億円)と予想される。

 ニュージーランドの中央銀行は、前年2月22日に同国で起きた地震による復興費用を約250億ドル(約2兆円)と見積もっている。

 ワルストロム代表は「経済的損失が増加する傾向が強くなっており、その変化のスピードも速い」とし、「早期の警報システムや事前の対策が進み、災害による死亡率は世界的に低下している。だが、経済的損失の拡大が多くの国で大きなリスクとなってきている」と述べた。

 同代表によると、1999年から2011年までの間に、災害によってアフリカ、アジア、南米19カ国で計7万3000キロメートル分の道路と6万4000校の学校が破壊されたという。

 同代表は、世界人口70億人のうち50%が、災害のリスクがある地域に住んでいるとしている。(c)AFP