【2月22日 AFP】スウェーデンで2か月も雪に埋もれた車中に閉じ込められていた男性が救出された事件で、現場近くの店主などの証言から、事件の詳細が徐々に明らかになりつつある。また専門家によれば、この「奇跡的な生存」も理論的には可能だという。

 この事件は17日、北部ウメオ(Umeaa)に近い森の中の道路で、完全に雪に埋もれた状態の車が見つかり、中にいた44歳の男性が救出されたもの。男性は2か月近くも車中に閉じ込められていたとみられ、病院に搬送されたものの、ひどく衰弱しており、ほとんど話すことも動くこともできないため、警察も詳しい事情聴取はできないでいる。男性は前年12月19日から雪の他には何も口にしていないと主張している。

 現場の雪には車輪の跡がないため、男性が車で森に入ったのは雪が降る前の秋ごろだったとみている。

 一方、スウェーデン紙アフトンブラデット(Aftonbladet)が20日の紙面に掲載した、現場近くの村Saevarでガソリンスタンド兼食料雑貨店を営むアンドレアスさんの話によると、救出された男性は、前年の夏ごろからガソリンスタンドを訪れるようになったという。

 アンドレアスさんによると、男性は車でやってきてガソリンを給油したり食べ物やコーヒーなどを購入し、森の中でテントや車に寝泊りしていると話していた。また、中部エレブルー(Oerebro)で大工をしていたが失業したと語っていたという。

 この男性が氷点下30度もの極寒のなかで、何も食べずに2か月も生存していたことには疑問の声もあがっているが、専門家らは理論的には可能だとみる。

 ウプサラ大学(Uppsala University)のTommy Cederholm教授はアフトンブラデット紙に、人間は食料がなくても水だけで最長60日間は生存が可能と考えられると説明。一例として、1981年に北アイルランドの獄中で英統治に対するハンガーストライキを続け、66日目に死亡したIRAのボビー・サンズ(Bobby Sands)受刑者を挙げた。
 
 さらに同教授は、通常ならば何も食べずに60日以上も生き続けることは難しいが、氷点下という低気温の状況で代謝が下がりエネルギー消費が減少したことも幸いしたのではないかと話している。(c)AFP

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