【10月25日 AFP】25日、タイの首都バンコク(Bangkok)に洪水が迫る中、バンコク第2の空港ドンムアン(Don Mueang)空港が閉鎖された。

 ドンムアン空港は1日100便ほどの国内線が離着陸している。同空港に乗り入れている航空会社のノックエア(Nok Air)とオリエント・タイ(Orient Thai)の2社は、全便を欠航すると発表した。ドンムアン空港には政府の洪水対策本部と避難所が設置されており、避難してきた人の数は倍増している。

 一方タイ政府は同日ドンムアン空港で開いた会議で、バンコクの住民が洪水から逃れられるようにするため、大潮による被害が予想される27日から31日までの5日間、バンコクと20の県にある学校や政府機関を休みにすることを決めた。

 バンコクの北部や東部の一部地域は既に浸水している。タイ全土で今回の洪水による死者は約360人に達し、住宅数百万戸が損壊した。

■スムーズではないタイ政府の洪水対応

 8月に就任したばかりで政治経験の浅いインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相は、対立政党が仕切っているバンコク市当局との間で確執があるように見える上に、首相と軍の関係も緊張しているといううわさもある。そんな状況の中、この洪水では一貫性のない情報が出ることが多かった。

 米国防当局高官によると、タイ政府から矛盾するメッセージを受けたため、米海軍は救援支援のために派遣した艦艇のうち、空母を含む一部を撤退させたという。この高官はAFPの取材に「(タイ政府には)チャンネルが2つあった。一方は『イエス』と言い、もう一方が『ノー』と言っていた」と語った。

 タイのユタサック・サシプラパ(Yutthasak Sasiprapa)国防相は、タイは独力で洪水に対応できるとの考えを示した。同国防相は「彼らの支援を拒否してはいないが、我々には我々の航空機がある。だから我々のを使おうということだ」と記者団に語った上で、米国の申し出の詳細ははっきり知らないので、空軍司令官に聞く必要があると述べた。

 在バンコク米大使館の報道官によると、10月20日に米軍の艦艇1隻がタイに到着し、この艦艇に搭載されたヘリコプターがタイ軍や他の米機関と協調して支援任務に当たっているという。(c)AFP/Anusak Konglang