【10月10日 AFP】過去数十年で最悪の洪水に見舞われているタイのインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相は、11日から予定されていたシンガポールとマレーシア歴訪を延期することになった。タイ政府が9日に発表した。

 インラック首相は、8月の首相就任後初めて、マレーシアのクアラルンプール(Kuala Lumpur)を11日に、シンガポールを12日に訪問する予定だった。

 インラック首相は前週、今回の洪水は「深刻な危機」だと述べ、首都バンコク(Bangkok)も無傷では済まないだろうと述べていた。

■寺院や工業団地も浸水

 2か月におよぶ豪雨でタイ北部と中部の広い範囲が浸水し、主に農業従事者ら数百万人が被害を受け、これまでに250人以上が死亡している。

 バンコクから北東に80キロほど川の上流にある古都アユタヤ(Ayutthaya)は数週間前から一部地域が浸水していたが、ここ数日で水位が急速に増し、寺院や遺跡群も水に漬かった。その後ホンダ(Honda Motor)をはじめ、自動車やエレクトロニクス関連の多数の日系企業が進出している工業団地も浸水し始めた。

 タイの科学技術大臣は、当局はアユタヤの病院から約200人の患者を避難させていると述べ、バンコク周囲の県では洪水防止よりも洪水が予測される地域からの避難に重点を置いていると説明した。

 タイでは今後も豪雨が予測されている。高潮で雨水の海への流出が困難となることから、10月中旬にも大量の雨水がバンコクに流れ込む恐れが出ており、バンコクでは浸水を防ごうと懸命の作業が続けられている。(c)AFP