【9月27日 AFP】(写真追加)台風17号(アジア名:Nesat、ネサット)は27日、フィリピンの広い範囲に暴風雨をもたらし、民間防衛当局によるとこれまでに少なくとも7人が死亡した。

 ネサットによる最初の犠牲者は、ネサットが最初に直撃したフィリピン最東部の増水した川に落ちた男の赤ちゃんだった。マニラでは建物の倒壊で4人が死亡した。当局者は、犠牲者は増える恐れがあると話している。

 マニラ湾(Manila Bay)の護岸には強い波が打ち付けた。現地のラジオ局DZBBは、マニラ湾の近くにあるマニラ病院(Manila Hospital)は1階が膝の深さにまで浸水し、病院職員は患者を2階に移したと報じた。

 マニラ湾岸にある5つ星ホテル、ソフィテル・フィリピン・プラザ・マニラ(Sofitel Philippine Plaze Manila)にいた人たちも避難し、大統領報道官は、マニラを流れるマリキナ川(Marikina River)が氾濫する恐れが出てきたため、流域に住む約5000人に避難命令が出されたと述べた。

 地方の農村では洪水が発生し、沿岸部では強風で住宅の屋根が飛ばされるなどの被害が出ている。

■ことし最大規模の台風

 フィリピンは例年20ほどの台風に見舞われ、その多くで死者が出るほどの被害を受ける。フィリピン政府は、ネサットの暴風雨の範囲は平均的な台風の2倍ほどで、ことし最大の台風の1つだと警告している。

 フィリピンの気象当局を監督する科学技術省の次官は、「直径650キロほどと非常に大きい。ルソン(Luzon)島の大半を覆っている」と記者団に語った。

 ネサットはルソン島北東部を夜明け前に直撃し、風速約39メートル、最大瞬間風速47メートルの強風をもたらした。27日から28日にかけてルソン島北部山間の農村地帯を移動し、その間、人口4800万人のルソン島全域に、多くの降雨をもたらすとみられている。

■経済活動にも影響

 1200万人以上が暮らす巨大都市マニラ周辺では27日午前、洪水と折れた木の枝などにより一部の道路が寸断された。

 大統領府はマニラ市内を含む台風の影響を受けた地域の全ての学校と政府機関の一時閉鎖を発表。首都に離着陸する空の便数十本も欠航した。

 またフィリピンの証券取引場も取引を中止。マニラの主要高架鉄道網も午前の通勤時間帯に停電で運行が一時停止し、多くの通勤客が足止めされた。

 マニラの金融街マカティ(Makati)では、銀行や多国籍企業などを含む企業が従業員を早退させた。また市内全域でオフィスビルの停電も起きた。

 フィリピンの気象当局によると、同国東部の農業地方で稲作地帯のイサベラ(Isabela)州とアウロラ(Aurora)州が当初の被害を最も受けているという。

 東部のアルバイ(Albay)州では26日、洪水被害を受けた複数の町から住民11万人が避難した。(c)AFP/Jason Gutierrez