【7月26日 AFP】「アフリカの角」を中心とした地域が深刻な干ばつに見舞われている問題について、国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganizationFAO)は25日、国際社会に大規模かつ緊急の援助を要請した。

 ローマ(Rome)で国連の援助機関と国際NGOの緊急会合を開いたFAOのジャック・ディウフ(Jacques Diouf)事務局長は、「今の危機的状況を脱するため、大規模かつ緊急の国際援助が必要とされている」と述べ、国連が飢餓宣言を出したソマリア南部2地域について「なんとしても飢餓を終わらせなければならない」と続けた。

 ソマリアでは国民の約3分の1にあたる推定370万人が飢餓に直面。ジブチ、エチオピア、ケニア、ウガンダでも計数百万人が過去60年で最悪の干ばつによって打撃を受けている。なお、飢餓宣言が出されたソマリアのバクール(Bakool)地方とシェベリ川下流(Lower Shabelle)地方については、外国の援助団体に対し活動禁止令を出したイスラム過激派組織アッシャバブ(Al Shebab)の実効支配下にあるため、支援物資の供給には困難が予想される。

 国連世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)は会合で、ソマリアの首都モガディシオ(Mogadishu)および同国と国境を接したエチオピア東部とケニア北部へ、26日から食糧を空輸すると発表した。

 また、世界銀行(World Bank)は25日、畜産農家の長期救済計画に5億ドル(約390億円)以上、干ばつで被害を受けた人々の緊急支援として1200万ドル(約9億4000万円)を拠出すると表明した。

 だが、国際NGOは支援額の少なさに失望感を示している。オックスファム(Oxfam)のバーバラ・ストッキング(Barbara Stocking)代表は「最も豊かで最も力のある国々のうち、最も貧しく最も弱い人々の命を救いたいと今日この会議で表明した国はごくわずかだった。恥ずべきことだ」と話した。U2のフロントマン、ボノ(Bono)氏が設立した国際NGO「ONE」は、「ローマで表明された政治的意思には、行動が伴わなければならない」とのコメントを出した。(c)AFP/Ella Ide