【6月7日 AFP】福島第1原子力発電所事故の原因を究明する公式調査が7日に開催されるのを前に、経済産業省の原子力安全・保安院(NISA)は6日夜、事故発生から数日間に大気中に放出された放射性物質の量の推計について、従来発表の37万テラベクレルを大幅に上回る77万テラベクレルと発表した。

 原発事故の原因を究明するために政府が設置した第三者機関「事故調査・検証委員会」は、失敗学が専門の畑村洋太郎(Yotaro Hatamura)東大名誉教授を委員長に、計10人の有識者で構成される。

 畑村委員長は7日の初会合で「原子力はエネルギー密度が非常に高く危険だ。安全とされてきたことは間違いだと思っている」と語った。

■容器破損の時間も修正

 安全・保安院が新たに発表した推計は、原子力安全委員会(Nuclear Safety Commission)の出していた事故後1か月の推計放出量の63万テラベクレルと比べても高い。

 さらに安全・保安院は、1~3号機の原子炉内の燃料が、これまで考えられていたよりも早くに溶融(メルトダウン)していたと修正。

 3月11日午後2時46分に地震が発生したが、安全・保安院の6日の発表によると1号機ではその5時間後の11日午後8時ごろに燃料が圧力容器下部にたまり、圧力容器の破損が始まっていた。2号機の圧力容器の破損は3月14日の午後10時50分ごろで、3号機の圧力容器の破損は3月14日の午後10時10分ごろだったとの見解を示した。

 東京電力(TEPCO)や政府の対応に対しては、情報提供が遅く、あいまいだとの批判が起きており、事故から3か月近くたった時点での今回の大幅修正により批判はますます高まるとみられる。(c)AFP