【5月10日 AFP】東京電力(TEPCO)の清水正孝(Masataka Shimizu)社長は10日、福島第1原発事故の賠償金の支払いについて、政府に支援を要請した。

 清水社長は、海江田万里(Banri Kaieda)経済産業相に支援を要請した後に会見し、東電には原発事故によって発生した損害の責任があると認めた。

 東京電力は、同社が操業を続け、「被害者への公正かつ迅速な補償だけでなく電気の安定供給にも支障をきたす」ような状況を避けるために政府の支援が必要だと主張した。

 また東電は、東日本大震災の影響で停止した福島第1原発など複数の発電所に代わり火力発電所を稼働させるため、燃料費として約1兆円が追加でかかるなど、発電費用がかさむと述べた。

■報酬カットや資産売却などの合理化案

 政府は、東電が国の支援を得るためにはさらなる経営合理化策を実施する必要があるとの考えを示していた。

 これについて東京電力は、代表権を持つ清水社長ら代表取締役8人が「当面の間」役員報酬を全額返上するとともに、保有株式や不動産などの売却、事業の合理化などを行って「できる限りの資金」を捻出する方針を示した。

 東京電力はこれまで、役員報酬を50%削減するとしていたが、2009年度の役員平均年収が3700万円だったことから、政府内から不十分だとの声が上がっていた。

 一方、読売新聞(Yomiuri Shimbun)は10日、政府内で東京電力の株式を国が保有する案が浮上していると伝えた。(c)AFP