【4月13日 AFP】フランスの原子力研究機関は12日、原発事故の「国際評価尺度(INES)」が最も深刻な「レベル7」に引き上げられた東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所について、チェルノブイリ(Chernobyl)ほど深刻ではないとの見方を示した。

 日本政府は12日、福島第1原発の事故レベルを、「レベル5」から最も深刻な「レベル7」に引き上げた。

 これまでに「レベル7」と評価された事故は、1986年4月26日にウクライナ(旧ソ連)で起きたチェルノブイリ(Chernobyl)原子力発電所の事故だけだ。

 フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)のパトリック・グルムロン(Patrick Gourmelon)局長は、福島原発について「非常に重大な事故」との認識を示したうえで、「現段階で、福島原発の深刻度はチェルノブイリ級ではなく、今後もそうはならないだろう」と語った。

■漏れ出ている放射線量など複数の相違点

 その根拠について、グルメロン局長は、チェルノブイリと福島原発とでは漏れ出している放射線量の規模など、複数の相違点があると指摘した。

 例えば、チェルノブイリで事故を起こした原発は1基だったことに対し、福島原発では3基が事故を起こしているが、拡散した放射性物質の量はチェルノブイリの10%にすぎない。これは、福島原発では原子炉格納容器は無傷だったため、核燃料棒が外部に露出せずにすんでいるからだ。

 さらに福島原発の場合、放射性物質の大量放出が起きたのは事故発生直後の3月12日から21日の間で、気象状況によって汚染地域も限定されている。

 これに対し、原子炉格納容器が爆発、炎上したチェルノブイリの場合は、放射性のちりや灰がウクライナ全土だけでなく、隣接するベラルーシやロシアからアイルランドにまで拡散した。

 また、原発事故による健康への影響についても、当時のソ連当局が近隣住民に適切な避難指示や食品の摂取制限を行わなかったチェルノブイリに対し、福島では、日本政府が事故後、半径20キロ圏内の住民に非難勧告を出しており、食品安全対策も適切だったため、深刻な被ばく被害を免れていると、説明した。(c)AFP

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