【4月12日 AFP】国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は12日、日本政府が東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所事故の深刻度を「国際評価尺度(INES)」のレベル7に引き上げたことについて、「あまりに遅い」と批判した。レベル7は1986年のチェルノブイリ(Chernobyl)事故以降初めての最高度評価となる。

 グリーンピース・ドイツ(Greenpeace Germany)の気候変動・エネルギー部門トップのトーマス・ブリュアー(Thomas Breuer)氏は、レベル7引き上げについて「グリーンピースは3週間前からレベル7に引き上げるべきだと主張してきた。だが、原発周辺の避難区域の設定にみられるように、日本政府は(グリーンピースの呼び掛けに対して)一貫して全く反応していない」と批判した。

 グリーンピースは、レベル7引き上げについて「あまりに遅すぎた」と述べ、20キロ圏外についても、妊婦や子どもたちを含む住民に対する保護措置をただちにとるよう、日本政府に再度呼び掛けた。

 また、ブリュアー氏は「原子力業界の歴史は、隠ぺいと原発事故のもたらす被害の過小評価であふれかえっている」と指摘し、「日本国内外の原発業界は、この大惨事がもたらす人への影響について過小評価を続けている」と述べ、「評価尺度で最悪レベルの事故であるという現実を、事故から1か月たってようやく認めた」と批判した。

 しかしブリュアー氏は、現状は「最悪のシナリオではない」と述べ、「原発業界は事故の起きた原発を管理できる状態に置こうと苦闘している。今後さらに多くの放射性物質が放出される危険性がある」と警告した。(c)AFP