【3月16日 AFP】欧州骨髄移植学会(European Group for Blood and Marrow TransplantationEBMT、本部スペイン・バルセロナ)は15日、欧州域内にある500か所以上の骨髄移植機関に対し、日本の福島原発事故で必要が生じた場合には、放射線被ばく者を受け入れるよう要請する通達を送ったと発表した。

 同学会の原子力事故委員会( Nuclear Accident Committee)の委員長を務めるレウ・ポールズ( Ray Powles )教授によると、EBMTは同日配信したメールで関係機関536か所に受け入れ態勢を尋ねた。EBMTはその中で「日本では被災した原発を制御しようと多くの人が必死に作業しているが、多くの原発従事者が被ばくする可能性が懸念される異例の事態となっている。日本の医療機関が対処しきれなくなった場合に備え、欧州連合(EU)諸国が人道援助を提供できる能力を事前評価しておきたい」と記している。

 ポールズ氏によると、被ばくした場合でも影響が出るのは3日後であるため、あらかじめ要請することにした。被ばく者すべてに骨髄移植が必要なわけではなく、抗生物質の投与や輸血で済む人も多いことが予想される。被ばく者の移送費、治療費、渡航手続きなどについては、各政府と医療機関が連携して規制を緩和するため、容易に手配できると言う。

 2001年の米同時多発テロをきっかけに設立されたEBMTの原子力事故分科会のネットワークには、骨髄治療を実施可能な500機関、専門医2500人が参加している。(c)AFP