【2月25日 AFP】ニュージーランドのクライストチャーチ(Christchurch)の大地震でがれきの下敷きになった男性を、たまたま同地にいたオーストラリア人の医師らが助け出していたことが分かった。男性は脚をがれきにはさまれていたため、脚を切断せざるを得なかった。

 豪テレビABCによると、泌尿器科医のスチュアート・フィリップ(Stuart Philip)さんがクライストチャーチで開催されていた医学会議に出席していた時、マグニチュード(M)6.3の地震が起きた。

 フィリップさんらは会場近くのパイン・グールド・ギネス(Pyne Gould Guinness)ビルで、がれきの下敷きになった男性を発見した。男性は建物のはりに脚を押しつぶされていたため、フィリップさんや仲間の医師たちは、男性の命を助けるには脚を切断するしかないとの結論に達した。

 幸い麻酔薬を使うことはできたが、手術器具は手元になかった。このため、手元にあったポケットナイフと工事用の弓のこを使うことにしたという。フィリップさんらは、強い余震に見舞われる中で男性の脚を切断した。「人生であれほど恐怖を感じたことはなかったが、それでも手術を続けた」

 脚を切断した結果、男性は無事に助け出された。既に集中治療室を出て回復に向かっているという。自分たちを英雄だと思うかと問われたフィリップさんは、「そうは思わない。僕らは外科医だ。外傷が専門ではないが、苦しむ人びとが目の前にいれば放ってはおけないよ」と答えた。(c)AFP