【1月23日 AFP】オーストラリアのウェイン・スワン(Wayne Swan)財務相は23日、今年最初の週間経済見通しを発表した。同国で発生した記録的な水害の復興費用は莫大な額に上るとの見通しを示すとともに、一時的な課税の可能性にも言及した。

 ドイツとフランスの国土を合わせた広さを上回る面積が水に漬かったクイーンズランド(Queensland)州は鉱業と農業が盛んで、水害が同国経済、特に石炭の輸出に与える影響は極めて大きいとスワン財務相は指摘した。

「クイーンズランド州は豪州全体のコークス用炭の約80%を生産している。コークス用炭の輸出は豪州全体の輸出額の10%、わが国のGDPの約2%を占めている」(スワン財務相)。

 農業と観光業も水害で打撃を受けたほか、クイーンズランド州の州都で豪州第3の都市ブリスベーン(Brisbane)では小売業と製造業も大きな影響を受けた。

 全国で310万人が水害の影響を受け、これまでに支払われた災害手当は2億2700万豪ドル(約185億円)に上る。一般から集まった義援金は1億3500万豪ドル(約110億円)になり、23日には資源大手BHPビリトン(BHP Billiton)が、今月1日に発表した100万豪ドル(約8200万円)に加え、新たに1000万豪ドル(約8億2000万円)をクイーンズランド州に寄付すると発表した。

■「一時的な課税を含め、あらゆる選択肢を検討」、財務相

 しかし、道路や鉄道の復旧など水害の復興には巨額の費用が必要になることから、スワン財務相は「困難な歳出削減が必要になるだろう。一時的な課税を含め、あらゆる選択肢を検討している」と述べた。

 スワン財務相によると豪州では、1996年にタスマニア(Tasmania)島のポート・アーサー(Port Arthur)で発生し35人が死亡した銃乱射事件後の銃の買い戻しや、2001年に運航が停止されたアンセット(Ansett)航空の職員給付金保護、酪農・砂糖業界支援のために一時的な課税が行われた例がある。

 オーストラリア南東部のビクトリア(Victoria)州では23日も洪水が続き、同州北部のスワン・ヒル(Swan Hill)とその近郊の村には氾濫した水が迫っている。被災者が「内陸の津波」と表現した濁流に襲われたクイーンズランド州ロックヤー・バレー(Lockyer Valley)とローウッド(Lowood)ではそれぞれ新たに1人の遺体が見つかり、同州で確認された今回の水害による死者は20人となった。(c)AFP