【1月15日 AFP】歴史的な水害で大きな被害を受けたオーストラリア北東部クイーンズランド(Queensland)州のブリスベーン(Brisbane)で15日、2万2000人を超える人が洪水の後片付けを行った。

 12日に氾濫したブリスベーン川(Brisbane River)が市内の広い範囲に残した土砂が悪臭を放つなか、バケツやほうきを手にした住民たちがバスの車庫などに集まり、バスで各被災地域に向かった。参加した一人は、「何かしなければいけないと思ったので来ました。道徳的、社会的な義務というものがあると思います」と語った。

 ブリスベーンで後片付けが始まった一方で、オーストラリア南東部のビクトリア(Victoria)州では29の町が洪水に見舞われている。洪水のピークを過ぎた町もあるが、一部の町ではまだ増水しつつある。ビクトリア州の北に隣接するニューサウスウェールズ(New South Wales)州北部では7000人以上が孤立している。

 10日に発生した鉄砲水で少なくとも16人が死亡したブリスベーンの西の地域では行方不明者の捜索が続いている。大きな被害を受けたグランサム(Grantham)では15日も200人以上の警察官が行方不明者の捜索を続けた。

 グランサム近郊の町で被災者を支援しているボランティアの一人は、多くの人はまだショックを受けていると語る。「13歳になる私の娘は堤防の上にいました。別の堤防にあった車の屋根の上に赤ん坊を抱いた女性がいたのですが、その車は壁のような水に流され、女性と赤ん坊は見えなくなったそうです。それ以来、娘は毎晩悪夢を見ています」

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はジュリア・ギラード(Julia Gillard)豪首相に電話で、米国は水害からの復興を支援する用意があると伝えた。一方、ケビン・ラッド(Kevin Rudd)豪外相はチャンネル・ナイン(Channel Nine)テレビに、オーストラリアと同様に深刻な洪水被害を受けているブラジル国民に心からお見舞いすると語った。

 ブラジルでは同国史上最悪の洪水でこれまでに少なくとも545人が死亡し、約1万2000人が家を失った。(c)AFP