【1月14日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は13日、オーストラリア・クイーンズランド(Queensland)州を中心に発生している大規模な水害について、太平洋の赤道付近で海水温が低下するラニーニャ現象が特に強力で、豪雨と洪水に拍車をかけているとの見解を発表した。

 NASAゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)の海洋学者、デービッド・アダメック(David Adamec)氏は「クイーンズランド州東部で歴史的な降水量を記録し、100年に1度の大洪水を引き起こした雨は熱帯低気圧によるものだが、これはラニーニャ現象が太平洋の貿易風に及ぼした影響の直接的な結果だ。このため、オーストラリアの熱帯地方は例年にない多雨となっている」と説明する。
 
 NASAが気象パターンの観測に使用している衛星画像を見ると、昨年11月と12月のラニーニャ現象は特に強かったことが分かる。

 NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)の気候学者ビル・パッツアート(Bill Patzert)氏は、「ラニーニャ現象に関する確かな記録は過去約50年分しかないが、今回のラニーニャはこの期間でも屈指のものと思われ、すでに地球中の天気や気候に影響を及ぼしつつある」と語る。

 オーストラリア第3の都市ブリスベン(Brisbane)では13日、郊外全域が水没し、インフラが麻痺、3万戸が浸水するなどこの数十年で最悪の水害となっている。(c)AFP