【1月2日 AFP】記録的な大洪水となっているオーストラリア北東部クイーンズランド(Queensland)州で2日、行方不明になっていた女性(41)の遺体が見つかった。今回の洪水で犠牲者が確認されたのは初めて。

 同州北部カーペンタリア湾(Gulf of Carpentaria)沿いの道路を車で走行中に氾濫した川の水に押し流され、行方不明になっていた女性を、救急隊と警察がヘリコプターとボートを出して徹夜で捜索していたが、2日午前10時20分(日本時間同日午前9時20分)ごろ、道路から約2キロ離れた地点で遺体を発見した。警察は同乗していた3人の子どもと大人1人を救出したが、最後に残った女性1人が流されていた。
 
 また主な被災地であるグラッドストン(Gladstone)の近くで1日午後、釣り船が浸水し、乗っていた男性1人が行方不明になったほか、街全体が水に漬かったロックハンプトン(Rockhampton)でも男性1人が流されたとの目撃情報がある。

■鉄鉱石の輸出にも影響

 2日夜もクイーンズランド州一帯で暴風雨やひょうなどの悪天候が予想されている。鉄砲水が発生する恐れもあり、気象局は住民に避難を呼び掛けている。

 これまでにフランスとドイツを合わせた面積にほぼ等しい範囲の各地で、合わせて約20万人が被害を受け、街全体が冠水したり、他地域との交通が寸断されたりした例も相次いでいる。農作物や鉱業への経済的打撃も計り知れない。

 31日に被災地を視察したジュリア・ギラード(Julia Gillard)首相は、農家や中小企業、観光業のほか、特に鉱業が受けた被害は深刻だと述べた。警察では非常事態は今後さらに1か月程度続く恐れがあるとみている。

 同州南東部バンダバーグ(Bundaberg)では水が引き始め、約300世帯と事業所120か所の清掃が始まる見込みだが、テオドール(Theodore)や内陸部のコンダマイン(Condamine)などではいまだに全町避難が続き、街に住民の姿は見られない。

 またオーストラリア西岸沖の海上原油掘削施設も悪天候のため操業が停止されたほか、複数の鉄鉱石積み出し港も閉鎖に追い込まれている。(c)AFP/Torsten Blackwood

【動画】豪クイーンズランド州の大洪水(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)