【10月6日 AFP】ハンガリーの西部のアイカ(Ajka)で4日発生したアルミニウム工場の貯水池が決壊した事故で、有害廃液の洪水に見舞われた村の1つ、コロンタール(Kolontar)では、あらゆる物が赤い廃液に襲われた。

 この事故で有毒な廃液100万立方メートルが周囲の7つの村に流れ出した。貯水池が決壊した原因はわかっていない。

 赤みを帯びた泥状の廃液は2メートルの津波となって村を襲い、車や芝刈り機、冷蔵庫、ソファ、ウシやイヌ、ネコたちまで押し流した。家屋は廃液にまみれ、洪水に押し流された車が積み重なっている。野菜畑も河川も汚染され、将来への見通しはまったく立たない。

 病気の妻を病院に連れて行っていたために廃液の襲撃を免れた40代の男性は、「病院から戻ったら家が倒れていた。すべてを失った。誰のせいだ。誰のせいでこんなことに…」と涙を流した。

 これまでに幼児2人、男性と高齢女性が各1人の計4人が死亡したほか、6人が行方不明となっている。また、廃液に触れて約120人がやけどを負ったり目を負傷するなどしており、死者が増える恐れもある。

 ハンガリー政府は、事態を同国史上最悪の化学事故による「大惨事」と評し、廃液の被害が最も大きい西部の3郡に非常事態宣言を発令した。

 事故原因や被害状況の調査も始まったが、避難した住民がいつ村に戻れるかは分からない。政府は、被害を受けた村の土壌が汚染されたため、再び住民が暮らせるようになるまで数か月かかる可能性もあるとみている。(c)AFP

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【動画】真っ赤な廃液に覆われた村(Youtube/AFPBB News公式チャンネル)