【8月29日 AFP】パキスタン南部のシンド州(Sindh)タッタ(Thatta)では29日、兵士や地元自治体の職員らが洪水から街を守ろうと「戦闘態勢」で堤防の修理にあたっている。

 シンド州は今回の水害で最も大きな被害を受けた州で、同州23地区のうち19地区が通常の40倍の水量になったインダス(Indus)川からあふれた水に漬かった。

 29日にAFPの取材に応じたタッタのある幹部職員によると、洪水は街から2キロにまで近づいており、タッタの住民のほとんどはすでに安全な場所を求めて避難したという。水位の上昇は続いているが、兵士らは不眠不休で堤防の切れた部分の修復作業にあたっており、あと2日ほど作業をすれば、少なくともタッタの街は守れるのではないか、と話してくれた。

 軍は、工兵隊が南部の主要な堤防の修理を終え、タッタとシンド州の州都カラチ(Karachi)を結ぶ幹線道路を守ろうとしていると発表した。

 一方、シンド州の内相は28日、報道陣に対し、カラチに4万人を収容できる避難民キャンプを開いたものの、避難キャンプに行っても十分な物資がないと考える住民が多く、28日までにキャンプに来た人は1人もいないと語った。

 援助団体は、栄養失調と汚れた水による感染症が、特に子どもたちの間で流行する恐れがあると警戒している。パキスタン政府はこれまでに1600人が死亡、2366人が負傷し、数百万人が食糧不足と病気の危険にさらされているとしている。(c)AFP/Hasan Mansoor and Emmanuel Duparcq