【5月28日 AFP】米南部沖のメキシコ湾(Gulf of Mexico)の原油流出事故で、米沿岸警備隊のタッド・アレン司令官は27日、流出源の油井に泥を流し込んで流出を封じ込める「トップ・キル」作戦に一定の効果がみられると発表した。
 
 一方、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は同日の記者会見で、米沿岸における新たな海底油田の掘削許可を6か月間、凍結すると発表した。また、アラスカ(Alaska)やバージニア(Virginia)沖での採掘権リースの売却も中止する。

 さらにオバマ大統領は、英エネルギー大手BPは原油流出について実際の被害レベルを覆い隠し事実よりも過小報告していたと、BPの対応を批判した。

 米政府が召集した科学者による調査では、原油の流出量はBPの当初予測の4倍を超えるとみられる。また、BPが主張する日量5000バレルの流出量は、実際には日量1万2000~1万9000バレルとの統計も出ている。

 その場合、4月20日の掘削施設爆発以降メキシコ湾に流出した原油の総量は、1860万ガロンから2950万ガロンに達するとみられ、1989年にアラスカ沖で1100万ガロンを流出した石油タンカー「エクソン・バルディーズ(Exxon Valdez)」号の座礁事故を上回り、米史上、最悪の原油流出事故となる見通しだ。

 原油流出事故により、米南部のルイジアナ(Louisiana)、アラバマ(Alabama)、ミシシッピ(Mississippi)、フロリダ(Florida)各州では経済や生態系への影響が懸念されている。

 さらに、沿岸160キロが原油で汚染されたルイジアナでは、政府が焼却処理を発令する可能性も出ており、希少な鳥類や哺乳類が数多く生息する湿地帯への影響が危ぐされる。(c)AFP/Karin Zeitvogel

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