【1月11日 AFP】凍えて木から落ちるイグアナ、暖を求め発電所の排水に集まるマナティー、厳寒の浜辺から保護されるウミガメ ――米国を襲った未曾有の大寒波で、温暖な気候が人気の米フロリダ(Florida)半島に生息する動物たちが生存の危機に瀕している。

 この寒波では、「太陽が降り注ぐ州」として知られるフロリダ州でも気温が氷点下を記録。亜熱帯気候のマイアミ(Miami)でも、前週は摂氏0度付近まで下がった。

 変温動物のイグアナの生息適温は23度で、35度程度まで生存できる。一方、15度前後まで気温が下がると活動が低下、5度を下回ると活動を全停止し、休眠状態となる。

 このため、寒波のフロリダでは、寒さに耐え切れず、木の枝や割れ目から地面に落下するイグアナが続出。死亡例も報告されている。

 だが、フロリダ州野性生物保護局(Florida Fish and Wildlife Conservation Commission)のガブリエラ・フェラーロ(Gabriella Ferraro)広報担当は、寒波はイグアナにとって「悪いことではない」と話す。熱帯の動物であるイグアナは、1960年代にメキシコや中南米からの旅行者によってフロリダに持ち込まれたもので、フロリダに生息していることが異常だというのだ。

 寒波による淘汰はイグアナの個体数のコントロールになると、フェラーロ氏は説明する。

 また、動かなくなって死んでしまったように見えるイグアナも、暖めれば活動を再開することがある。フロリダではよく、通行人が路上で動かなくなったイグアナを抱えて日なたに移動させ「生き返らせる」という。しばらく日光に当たれば、ほとんどのイグアナは起き上がって茂みに駆け込むのだそうだ。(c)AFP/Juan Castro Olivera