【8月15日 AFP】台湾の馬英九(Ma Ying-jeou)総統は15日、台風8号(モーラコット、Morakot)への政府の対応が遅かったことに対する市民の批判が高まっていることを受け、「大変申し訳ないと思う」と謝罪した。台風8号は、台湾中部と南部に大きな被害をもたらしている。

 台風被害の規模を把握するのに遅れた馬政権に対しては、市民から強い批判や不満が出ている。

 馬総統は、台湾中部の南投(Nantou)県を視察中に記者団に対し「もっと適切に迅速に対応することができたはずだ。しかし、われわれは適切ではなく迅速ではなかった。もちろん、大変申し訳ないと思っている」と語った。

 これまでに123人の死亡が確認されているが、馬氏は、高雄(Kaohsiung)県小林(Hsiaolin)村で数百人が生き埋めになっていることから、最終的な死者数が500人に上る可能性もあるとの見通しを示した。

 被災地では現在も捜索活動が続いており、警察は、行方不明者の親族に対し、遺体との照合のためにDNAのサンプルを提供するよう呼びかけている。

 行方不明者の関係者や親族らは、死後7日目に死者の霊魂が戻ってくるとの信仰に基づき、土石流にのみ込まれた集落のそばに社(やしろ)を建てたという。また、中国出身のアクション俳優ジェット・リー(Jet Li)さんも高雄県を訪問し、救援物資を避難施設に運び込んだ。

 一方、馬総統は謝罪の数時間後に台中(Taichung)の野球場の始球式に登場。馬氏は結局、会場からのブーイングがあまりに激しかったため、ボールを投げることなくスタジアムを後にした。スタジアムの外では、男性が取材カメラの前で「これだけ多くの人が死んでいるのに、始球式に参加するのか!夜はよく眠れますか!?」と叫ぶ姿もみられた。(c)AFP/Polly Hui