【2月8日 AFP】(一部更新)記録的な熱波に見舞われたオーストラリア南東部の数十か所で相次いで発生した山火事による死者は、8日までに84人に達したと、警察が発表した。

 8日の時点で、ビクトリア(Victoria)州では26か所で火災が続いている。同州で最も被害が大きかったのはリゾート地として著名なメリーズビル(Marysville)村で、村全体がほとんど焼失した。自分の住居も焼け落ちてしまった同の牧師は「メリーズビル全体がきれいに消えてしまった」と嘆いた。ビクトリア州の消防当局によると、住民に死者は出なかったが、メリーズビルの村内で立ったまま残っているのはビル1棟だけだと言う。

 ジュリア・ギラード(Julia Gillard)副首相は、被害に遭った自治体すべてが再建が必要だとして、連邦政府は大規模な災害援助を準備していると述べた。 

 メリーズビルはビクトリア州の州都メルボルン(Melbourne)北東に位置し、永住する住民は約1000人のみだが景勝地として知られ、冬のスキーリゾートにも近いことから、別荘や定年後の移住先として選ぶ都市部の人びとが多い。航空写真で撮影された様子では、村全体が押しつぶされたように平らで、路上にはがれきと焼け焦げた木などが転がっていた。

 またメルボルンの北にある街キングレイク(Kinglake)も、大規模な被害を受けたとみられている。住民によると街全体のあちらこちらで火の手があがったといい、少なくとも10人が死亡したとみられている。警察による封鎖のため、事前に避難した住民は8日現在も、自宅に戻れずにいる。

 ケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は消防士3000人の消火活動を支援するために複数の連邦軍部隊を派遣した。(c)AFP/Neil Sands