【6月21日 AFP】フィリピン中部のイロイロ(Iloilo)で21日、台風「Fengshen」の通過で鉄砲水や土砂崩れが発生し、少なくとも19人が死亡した。また、ダムがはんらんし、少なくとも3万人が屋根の上に取り残されているという。

 イロイロ市のJed Mabilog市長代理は、死者・行方不明者が多数いると救助隊が報告したことを明らかにした。ただし、他の情報筋では確認されていない。

 また、同市のSerg Biron市議はDZBBラジオに対し、「ヘリコプターを要請するテキストメッセージを多数受け取った。大勢が屋根の上に取り残されている」と語った。

「Fengshen」は、20日に熱帯低気圧から台風に発達し、週末にかけてフィリピン中部を通過し、大雨を降らせた。停電も発生しており、数十万人が避難を余儀なくされている。

 都市部の密集地ジャロ(Jaro)とイロイロでは、腰の高さにまで冠水し、車での移動ができなくなったため、住民は水の中を歩いて移動している。

 同国の国営電力公社(National Power CorporationNPC)によると、イロイロの発電所の稼働を停止ししたため、州全土で停電となっている。

 21日午後5時(日本時間午後6時)現在、「Fengshen」は北西に進路をとり、風速54メートルでミンドロ(Mindoro)島に向かって進んでいる。

 同国の気象局によると、22日は、中部のビサヤ(Visayas)地域の広い範囲と、ルソン(Luzon)島の一部で大雨が予想されている。

 当局によると、空の便は中部地域への国内線は運行が休止されており、また島間を結ぶフェリーも運休となっている。

 グロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)大統領は、台風が直撃した地域での生活必需品、特に不当な価格での米の販売や独占に対する取り締まりを指示した。(c)AFP