【3月10日 AFP】英国各地で激しい暴風雨が吹き荒れた10日、空や陸の交通に深刻な混乱が生じている。イギリス海峡(English Channel)ではタンカーが立ち往生し、救援のため沿岸警備隊が緊急出動したと危機管理当局が発表した。

 大西洋側から英本土に激しい雨を伴った強風が吹き込み、ロンドンのヒースロー(Heathrow)、ガトウィック(Gatwick)両空港では数便の運行がキャンセルされ、鉄道にも各地で遅れが出た。

 今冬最悪との予測もあるこの暴風雨は、最初に英南西部コーンワル(Cornwall)、デボン(Devon)に上陸、その後イングランド(England)およびウェールズ(Wales)西部を襲っている。

 イングランド南部の鉄道交通は寸断され、ロンドンでは地下鉄の線路が浸水し運休となった。また各地の道路で樹木が倒れ、通行の障害となっていると報じられている。海上では海峡側の主要港であるドーバー(Dover)港で最高瞬間風速36メートルを記録、フェリーが運航できなくなったため港が閉鎖された。

 さらに同海峡沖では乗組員13人を乗せたスウェーデン船籍のタンカー(1.1万重量トン)がワイト島(Isle of Wight)沖で立ち往生している。沿岸警備隊によると、タグボート少なくとも1隻が派遣された。救命班担当のJohn Keyworth報道官は、救助隊は暴風にあたる「風力11」の中を出動したが「(現場は)嵐のただ中といえるだろう。すさまじい状況だ」と語った。

 英気象局のサイモン・ヒューズ(Simon Hughes)氏は今回の嵐について「今晩から12日まで強風と高波、高潮が混ざり合った状況が続く」と述べた。

 危機管理庁ではすでに7つの高レベルの洪水警報のほか、44の浸水警報を発している。また気象局でも、イングランドからウェールズ、北アイルランド(Northern Ireland)地方全域に十分な警戒を呼びかけている。(c)AFP