【11月22日 AFP】フィリピン気象当局は22日、同国沖で発生した熱帯性低気圧「ミートク(Mitag)」が次第に勢力を強めながら接近しており、住民数十万人に避難勧告が出されたと発表した。

 現地気象台の発表によると、ミートクは22日現在、風速33.5メートルの強風を伴って、フィリピン東部沖合を西に進んでいる。最大瞬間風速は42メートルに達しており、台風に発達する恐れがある。

 特に被害が集中すると予想される首都マニラ(Manila)南東のビコール(Bicol)半島で、重点的な避難活動が進められている。

 ルソン島(Luzon)南部アルバイ(Albay)州のJoey Salceda知事によると、同地ではマヨン山(Mayon Volcano)の泥流発生や沿岸地域の高潮に対する警戒が呼び掛けられている。

■犠牲者ゼロに、強制避難も

 ミートク接近をうけ、グロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)大統領は21日、東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian NationsASEAN)首脳会議出席のため訪れていたシンガポールから急きょ帰国し、対策にあたった。

 Salcedaアルバイ州知事によると、ミートクによる「犠牲者ゼロ」を目標に掲げるアロヨ大統領は、予防対策として大規模な被害が予想される地域に、いち早く避難勧告を出した。さらに軍と警察を動員して、勧告に従わない住民を強制的に立ち退かせる態勢をとっている。

 避難勧告の対象は41万8000人。このうち、河川の堤防沿いや地滑りの恐れがある地域の住民23万6000人の避難が優先される。州防災本部の発表によると、アルバイ州ではこれまでに12市町の住民2万6142人が避難した。

 Salceda知事によると同州での避難対策は順調に進んでいる。死傷者の報告もなく、避難住民向けの救援物資もすでに備蓄されており、「すべて順調」だと語った。

 ミートクは22日朝までに、ビコール半島東岸に面したカタンドゥアネス(Catanduanes)島の東沖合約490キロの海上を毎時15キロで西に進んでおり、予報では25日朝までにルソン島に上陸する見通し。(c)AFP