【10月1日 AFP】「15秒後にマグニチュード6.5の地震が来ます。10、9、8、7……」。大きな揺れの直前に地震発生を知らせる、世界初の「緊急地震速報」が、1日からスタートした。

 当面は発電所、鉄道といった公共施設に導入され、自動運行停止などの措置を取るために利用されるが、ケーブルテレビ会社や住宅メーカー、携帯電話会社といった各社も、速報を受信できる製品の開発にしのぎを削っている。

■警報システムを標準装備した住宅も登場

 三洋電機(Sanyo Electric)傘下の住宅メーカー、三洋ホームズ(SANYO Homes)は業界で初めて、緊急地震速報システムを標準装備したモデル住宅を5年がかりで開発した。受信装置が警報を感知すると自動的に電気がつき、台所のコンロは停止、電動シャッターとブラインドが降りて窓ガラスが割れて飛散するのを防ぐ。

「料理や縫い物など、地震が起きた場合に危険な作業を発生前に中止できる」と担当者は説明する。

■10秒間を生かすには理解と訓練が不可欠

 気象庁(Meteorological Agency)が速報を発してから、実際に揺れが起こるまでの時間は10秒足らずだ。そのため、速報は逆効果でパニックを引き起こすだけだとの懸念も一部にはある。

 しかし東京大学(University of Tokyo)生産技術研究所の目黒公郎(Kimiro Meguro)教授は、「10秒間でも、どう動けばいいかさえ分かれば90%の人は助かる」と指摘し、速報に対して素早く正しい行動を取るためには、受信する側がシステムのことを理解しておく必要があると述べた。

 緊急地震速報を使った地震訓練に参加したある男性は、警報を聞いて一瞬硬直し、それから机の下に飛び込んでクッションで頭を覆った。訓練後、男性は「小さな地震には慣れているが、大地震が起きた場合について家族と話し合ったことはない。急に警報が鳴っても、どこに隠れればいいか迷うかもしれない」と不安を口にした。(c)AFP/Kimiko de Freytas-Tamura