【8月20日 AFP】15日にマグニチュード8.0の大地震に見舞われたペルーでは、被害が集中した南部のピスコ(Pisco)で19日、略奪などを防止する軍のパトロールが続けられる中、救助隊は生存者の救出活動を断念し、数万人にものぼる被災者の援助が重点的に行われている。

 地震で街の70%が破壊されたピスコでは、略奪の取り締まりのために軍や武装警官1000人以上が動員された。また、アラン・ガルシア(Alan Garcia)大統領は同日、略奪などの防止のため外出禁止令を発令した。

 公式発表によると、地震によるこれまでの死者数は503人にのぼっている。最大の被害に見舞われたピスコでは、教会が崩壊し、礼拝中の信者160人が死亡。また、ピスコだけでも行方不明者が150人程度を数え、死者数はさらにふくらむと見られる。

 また、数千人が家を失い、屋外で寝ることを余儀なくされている。余震はこれまでに400回にのぼっており、人々の不安はつのっている。

 地震発生から5日が経過し、遺体回収作業と並行して救援物資の配布が重点的に行われている。また、ピスコでは、緊急措置として集団墓地が急造された。

一方、カルロス・バジェホス(Carlos Vallejos)保健相によると、南部沿岸に約1500人の医師や看護師が派遣され、呼吸器系疾患、破傷風、下痢、コレラなどの感染症の蔓延に警戒を強めているという。

 被災地には各国から医療関係者や救援物資などの支援が多数寄せられている。米政府は、ピスコのサッカースタジアムに野外病院を設置し、医師22人を常駐させている。また、フランス政府は消防士らを派遣した。 

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は19日、ガルシア大統領に電話で「惜しみない協力」を約束。ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)は、ペルー国民へのメッセージを伝える特使を派遣すると表明。また、コロンビアのアルバロ・ウリベ(Alvaro Uribe)大統領は、19日にピスコを訪問し、ペルーの首脳らと今後の対応について協議した。(c)AFP/Cesar Sabogal