【8月2日 AFP】「まずバリバリッという音がした。それから悲鳴が聞こえ、通行中の車両が次々と滑り落ちていった」。米ミネソタ(Minnesota)州ミネアポリス(Minneapolis)で1日発生した、ミシシッピ川(Mississippi river)に架かる橋の崩落事故に遭遇した人々が、事故当時の生々しい状況を証言した。

■ラッシュアワーに起きた突然の悲劇

 ラッシュアワー時で多くの車両が通行中だった片側4車線の橋が崩落した現場は、夕刻を迎え闇に包まれた上、雷雨に見舞われて救助作業が難航している。

 事故では車両数十台がミシシッピ川へ滑落、これまでに少なくとも9人の死亡が確認され、60人以上の負傷者が医療機関に搬送された。今後、遺体が発見されるにつれ、死者の数は増えるものとみられる。

 転落した車両から何とかはい出した生存者もいれば、崩れ落ちたコンクリート片の下敷きになったり、V字型に折れ曲がった橋に挟まれた人々もいる。

 目撃者によると、事故当時、地震か飛行機事故のような音がしたという。

 キャンプ場帰りの子どもたち60人を乗せたスクールバスも事故に巻き込まれたが、後部ドアから全員何とか脱出した。傍らではミニバスが炎上していたという。

■崩れる橋をよじ登って脱出

 事故当時、ラッシュアワーで混み合う橋の上で車を運転していたPeter Siddonsさんは、始めに「バリバリッ」という音を聞いた。その後、橋が揺れるのを感じたという。「橋が下へ下へと崩壊し、自分も車ごと巻き込まれた」

 車を飛び出したSiddonsさんは、橋の裂け目を飛び越え、斜めになった橋をよじ登り、橋が完全に崩壊する前に安全な地上に飛び移ることができ、幸運にも軽傷を負っただけですんだ。Siddonsさんは、もう駄目だと思ったという。「もう完全に死ぬんだと思った」。

■車ごと川に投げ出された被害者

 一方、Catherine Yankelevichさんは車ごと川に転落してしまった。「橋が傾きだして、通行していた車両があちこちに投げ出されたと思ったら、川面が近づいてきて、あっという間に水が迫ってきた」

 Yankelevichさんはウインドーを下げて車から脱出すると、何とか川岸まで泳ぎ着き難を逃れた。「まるで映画のような話だけど、本当に恐ろしかった」

■協力して救助活動、夜間の捜索は打ち切り

 一方、現場に居合わせた人々が助け合った様子もうかがえる。川付近に居合わせた人々は、川に落ち血まみれで助けを求める人々を引き上げた。また、ある女性は腰にロープを巻いて崩壊した橋の鉄骨に結びつけ、川に入って救助作業を手伝った。

 じきに救助隊が到着。夕刻が迫る雷雨の中、溺れる人々や車両に閉じこめられた人々の本格的な救助活動が行われた。 

 4時間後には生存者は全員安否が確認され、夜間の活動は困難なことから、救助隊はいったん捜索を打ち切った。(c)AFP