【7月24日 AFP】英国のゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相は23日、過去60年で最悪規模の大洪水に見舞われた現場を視察した。多くの町や村では、飲料水や電気の供給が途絶えたまま、依然として多数の住人が取り残されている。
 
 英国中部、西部が浸水し、さらに雨が降り続く中、ブラウン首相は、洪水被害の対応にあたるグロスターシャー(Gloucestershire)州当局者との面会を前に、同州上空をヘリコプターで通過し、被害状況を視察した。

 視察直後の月例記者会見でブラウン首相は「ほかの先進工業諸国と同様に、われわれは気候変動に関わる問題に折り合いをつけていかなければならない」と述べ、この洪水と気候変動との関連を指摘した。さらに、将来発生する可能性がある問題に取り組むために追加の資金を拠出し、問題点を洗い直すと述べ、英国の問題は「19世紀の建築物」が多いことで、排水システムを見直す必要もあると付け加えた。

■懸念される被害の拡大

 英国気象庁が23日に「南部ではさらに雨量が増える」との見通しを示し、ヒラリー・ベン(Hilary Benn)環境相が、BBCラジオ(BBC Radio)に対し緊急事態は「まだ続いている」と語るなど、国内では今後さらに事態が悪化するとの声が上がっている。

 政府関係者によると、英国を代表するテムズ(Thames)川とセバーン(Severn)川が決壊し、周囲に甚大な被害を及ぼす恐れがあるという。テムズ川沿いにある大学都市オックスフォード(Oxford)では、浸水が広がり多数の学校が閉鎖されており、約1500人がすでにサッカー場に避難している。

 グロスターシャー州のTewkesburyでは、洪水で浄水場が閉鎖され、15万戸で飲料水の供給が停止している。そのため、同州ではボトル入りの水を購入しようとする住民の間で混乱が起きており、デーリー・メール(Daily Mail)紙はこの皮肉な状況について「一面の水、だが飲み水は一滴もない」と伝えている。同州および近隣のヘレフォードシャー(Herefordshire)州では、洪水の影響で発電所が閉鎖され、4万8000戸が停電している。被害地域では、鉄道がまひしているほか、多くの道路も通行が不可能な状態となっている。(c)AFP/Katherine Haddon