【6月28日 AFP】パキスタン南部沿岸を直撃したサイクロン「Yemyin」による死者が21人に上った。これまでのところ「Yemyin」によって25万人が家を失い、一部の人々は屋根の上や木に取り残されたままとなっているが、救助活動は難航している。

 サイクロン「Yemyin」は26日、アラビア海(Arabian Sea)からバルチスタン(Baluchistan)州南部に上陸したが、同じく南部のカラチ(Karachi)などでは3日前、雷雨などの影響により235人が死亡、隣のインドでも約150人が死亡している。

 国連(United NationUN)によると、英国での洪水、欧州南部での熱波とともに、南アジアで発生している破壊的なサイクロンは、気候変動による影響に対処する態勢を世界規模でこれまで以上に整える必要があることを示しているという。

 被害の大きいバルチスタン州の救助機関関係者はAFPに対し、今回のサイクロンと豪雨の影響で約25万人が家を失ったことを明らかにした。また数十の村が冠水したもよう。

 公式な声明によると、いくつもの主要幹線道路が深刻な被害を受けているため、シャウカット・アジズ(Shaukat Aziz)首相は、毛布、食糧、テントおよび医療品の緊急空輸を直ちに指示した。

 パキスタンの気象庁によると、サイクロンは今後北西に移動しイランに抜け、その後天気は回復する見込み。

 今シーズンに北インド洋で発生した大きな嵐としては、「Yemyin」は2つ目。今月上旬にはサイクロン「ゴヌ(Gonu)」がオマーン、イランおよびパキスタン南西部を襲い、60人以上が死亡した。

 国連の国際防災戦略(International Strategy for Disaster ReductionISDR)のサルバノ・ブリセーニョ(Salvano Briceno)事務局長はジュネーブ(Geneva)で、パキスタンやそのほかの地域で起きている最近の異常気象は、地球温暖化によって今後起こりうる現象の一端に過ぎないと指摘し、「不意を突かれるのを待ってはいられない。われわれには何が起こりえるのか分かっており、それに向けて準備できる」と主張した。(c)AFP