【6月11日 AFP】前週、激しい嵐が吹き荒れ、犠牲者9人を出したオーストラリア東海岸で復旧活動が開始された11日、今度はシドニー(Sydney)北部が洪水に飲み込まれた。住宅と牧場に被害が出ている。

 この洪水でメートランド(Maitland)周辺の住民数千人が一時避難したが、平常水位に下がった地域については、後に帰宅が許可された。一方、洪水は東方のニューキャッスル(Newcastle)市街へ向かって押し寄せ、一部の地域では現在も警戒態勢が続いている。

 ニューサウスウェールズ(New South Wales)州緊急サービス局のデビッド・ウェバー(David Webber)局長は、ハンター・リバー(Hunter River)付近の住民たちは避難する必要に迫られるかもしれないと警告した。一方、気象局は最新の天気予報で、州史上最悪の脅威は去ったと伝えた。

 洪水被災地を訪れたジョン・ハワード(John Howard)豪首相は、洪水に覆われた一帯を上空から確認することがほぼ不可能な状態だと述べた。

 8日にシドニーとニューキャッスル、そして北へ伸びるセントラル・コースト(Central Coast)沿岸を襲った激しい嵐は前週末にかけて続き、9人が死亡した。

 雨が止んだ時点では、ハンター・リバーの堤防が決壊し、メートランドの市街からニューキャッスル西部へ川の水がはんらんする恐れもあった。住宅数百戸が洪水に襲われたが、予想より水かさの増加が遅く、一晩のうちに警戒は解けた。

 堤防付近に暮らす住民数千人は10日に帰宅を許されたが、ニューサウスウェールズ州緊急サービス省のNathan Rees長官は、市街地域の危険はまだ去っていないと注意を促した。

 ニューキャッスルは暴風域の中心部に入り、人気ビーチには巨大な高波によって巨大な貨物船がたたきつけられた。街の中心部は地震に襲われたかのような様相となった。

 嵐から約4日経過した後も、住宅4万件への送電は遮断されたままで、職員らが復旧作業に励んでいる。電力会社EnergyAustraliaAnthony O’Brien広報担当は、道路への被害が大きく復旧が困難になっていると述べた。(c)AFP