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津波の打撃を受けたアチェ、海岸を甦らせるライフセーバーたち - インドネシア

  • 2006年08月21日 21:36 発信地:インドネシア
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写真はロンガビーチで訓練に備えるSaddamさん(左)、Rosmiatiさん(中央)、Agusさん(右)。 (c)AFP/Sophie BOUDRE

【アチェ/インドネシア 21日 AFP】2004年12月にスマトラ沖で地震が発生し、巨大な津波がアチェ(Aceh)州のロンガ(Lhok Nga)村を襲ったとき、Taufikさん(16)とAgus(18)さんは一目散に逃げた。今日2人は、ライフセーバーとして人々を助ける仕事をしている。

 ロンガ村のビーチでは、赤と黄色のユニフォームを着た12人のライフセーバーたちが大きな波の恐怖を物ともせず、笛の合図でインド洋のに向かって走り、救助活動を行っている。

 1500キロにも及ぶアチェ州の海岸は、その約半分が津波の被害を受け、約16万8000人が死亡。津波発生の数週間後、美しい海岸地帯には、おびただしい死体と泥まみれのがれきが散乱していた。現在では以前の姿を取り戻し、週末などには州都バンダアチェ(Banda Aceh)からの家族連れや10代の若者たちのほか、地元のサーファーや海外の人道支援活動家らも集まる場所となっている。

 ボランティアとしてライフセーバーの訓練を受けているTaufikさんは、津波で弟と妹を亡くした。自身も救助された経験を持ち、「お返しに人を助けたい」と語る。

 Agusさんも、津波で兄弟の1人を亡くした。2006年3月に訓練を開始した際には、「誰もが津波のことを考えていた」と言う。
「当初は恐怖心でいっぱいだったが、今は平気。大きな波の中を泳ぐのは大変だけれど」と語るAgusさんは、地元出身の若者たちと同様にライフセーバーの資格取得を目指している。

 米国人トレーナーのPeter Elefsonさん(23)によると、アチェには現在、わずか12人しかライフセーバーがいない。もともとNGOの活動家であるElefsonさんは、ビーチに人々を取り戻すためにライフセーバーのチームを作ったという。チームの活動資金は、地元住民の助けを借りて設立された「Ache Water Sports」という団体から提供されており、その収入源はサーフボードのレンタル代や水泳教室によるものだ。

■伝統と戦う女性たち

 広大な海岸に恵まれているにもかかわらず、アチェの住民は多数の漁師を含め、一般的に泳ぎが得意ではないという。したがって、ライフセーバーの訓練も、まず水泳の基礎を覚えるところから始まる。Elefsonさんは、「ライフセーバーたちは最初、『ここで泳がなければいけないのか』と悲鳴を上げるんだ」と訓練開始の様子を説明した。

 現在3人いる女性ライフセーバーの1人、Rosmiatiさん(29)は、イスラム教の戒律が厳しいアチェでは「海は男性の領域」と語る。ライフセーバーチームへの参加を希望した際、夫と口論した。
「君には家族がいるんだ」と言う夫に対し、「仕事と家事を両立し、2人の子どもの世話をしながらでも週3回の訓練に参加できる」と説明したという。

 若いAgusさんとは違い、Rosmiatiさんは太ももは露出しても、長い髪をまとめる赤い水泳帽の上にイスラム教のベールをかぶり顔を隠している。アチェで浸透しているイスラム法によると、女性は頭から足首まで覆わなければならないという。

「当局は当初、女性ライフセーバーが露出度の高い格好で活動するのではと心配してたが、今のところ問題にはなっていない」とElefsonさんは話す。Agusさんは、「ベールをかぶっていると暑すぎるし、うまく泳げない」と語る。

■整備が待たれる人命救助のシステム

 地元の人々が尽力する一方、人命を救助するための環境や設備は、まだ整ったとはいえないようだ。元サーファーのSamsuar Saddamさん(36)は、「アチェでは救助にヘリコプターやジェットスキーを使用するなんてありえない!」と失望を込めて言った。

 また、ライフセーバーの役割についても、住民の理解は十分でないという。ライフセーバーの1人であるHarisさんは、その活動自体がまだ目新しいものだという。「笛を使えば、ビーチの駐車誘導員だと思われるんだ」

 最近ようやく、オーストラリア赤十字の援助により、週末にはロンガのビーチにバンダアチェの病院から救急車が派遣されることになり、現場での蘇生措置などが可能になった。

 写真はロンガビーチで訓練に備えるSaddamさん(左)、Rosmiatiさん(中央)、Agusさん(右)。 (c)AFP/Sophie BOUDRE

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