【9月2日 AFP】イラク・ディヤラ(Diyala)州にあるイラン人難民キャンプ「キャンプ・アシュラフ(Camp Ashraf)」で1日、爆発や衝突が起きた。キャンプを管理するイランの反体制組織ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO、別名:PMOIMEK)はイラク治安当局によってキャンプの住民50人以上が殺害されたと主張しているが、イラク側は否定している。

 イランとの国境近くにあるキャンプ・アシュラフは、イラン・イラク戦争中の1980年代に当時のサダム・フセイン(Saddam Hussein)大統領がMKOに設置を許可した難民キャンプ。ただ、キャンプにいたMKOメンバー約3000人は昨年、バグダッド(Baghdad)郊外の米軍基地跡に作られたキャンプ・リバティ(Camp Liberty)に移動し、キャンプ・アシュラフには100人ほどが資産管理などを理由に残っていた。

 MKO側は1日の衝突について、イラク治安部隊がキャンプ内に侵入し、52人を殺害して建物などに火をつけたと主張しているが、イラク側は全面的に否定している。

 一方、地元の医療機関はキャンプ住民の死傷者の有無には触れず、イラク兵3人が死亡し、4人が負傷したと報告した。これらの死傷者についてイラク当局は、キャンプの住民らに治安部隊が襲われたと主張している。

 またイラク警察当局と医療機関筋によると、キャンプ・アシュラフには迫撃砲5発が撃ち込まれたという。警察幹部は、この迫撃砲攻撃に怒った一部の住民たちが、キャンプを警備していたイラク軍部隊を襲撃し始め、兵士3人を殺害したと話している。

 関係者の主張には大きな隔たりがあり、事実関係は確認できていない。国連(UN)が事態究明に乗り出したほか、イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相も原因究明委員会を設置した。

 イラクでは今年初めにも、MKOメンバーが暮らす別の難民キャンプが迫撃砲攻撃を受け、8人が死亡する事件が起きている。1960年代に結成されたMKOは、79年のイスラム革命後にイランのイスラム教シーア派聖職者による統治に反対して武装化したが、現在は武装闘争を放棄して平和的な手段を介したイランの体制転覆を目指している。(c)AFP/Ammar Karim