【8月12日 AFP】英国政府は10日、英国の学校に通う生徒たちが夏休みで親の祖国に「帰省」した際、強制的に結婚させられる事例が増加しているとして、教師や医師、空港職員らに警戒を呼び掛けた。

 英内務省によると、少女たちを中心に英国籍の生徒が家族に連れられて「帰省」したところ、本人が知らないうちに帰省先で結婚が決められていたという報告は、1年のうちでも夏期休暇中に最も多いという。

 英政府機関「強制結婚対策部(Forced Marriage UnitFMU)」は2012年に約1500件の強制結婚を取り扱ったが、被害者の3分の1は17歳未満だった。強制結婚させられた「帰省先」は60か国に及び、およそ半数がパキスタンで、バングラデシュが11%、インドが8%、アフガニスタンが2.1%だった。また、男子が被害者となった事例も18%あったという。

 ジェレミー・ブラウン(Jeremy Browne)犯罪予防相は、学校休暇の間に強制結婚の報告が増えるという事実は衝撃的だと述べ、「夏の終わりに成績発表を控えた10代の生徒たちは、輝かしい将来に羽ばたいていくべき身だ。会ったこともない人物と望みもしない結婚を強いられることがあってはならない」と語った。さらに、若者たちに向けて「危険を感じたら、黙って苦しまずに一歩、踏み出してほしい。必ず助ける手段はあり、結婚は止められる」と呼び掛けた。

 FMUは今夏、被害者になる可能性がある生徒たちに、強制結婚から逃れるための情報が記されたカードを配布し、意志に反して結婚させられる危険を感じたら警察官や空港職員に助けを求めるよう注意を喚起している。

 英国政府は昨年、イングランドとウェールズを対象に、親が子どもを強制的に結婚させた場合は禁錮刑を科すと定めた新法を導入する方針を発表している。(c)AFP