【7月18日 AFP】イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」の幹部が、昨年TTPに頭部を銃撃されて瀕死の重傷を負った少女マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さん(16)に宛てて、TTPに対する「中傷」をやめてパキスタンに帰国しイスラム神学校(マドラサ)に通うよう説く公開書簡を送っていたことが17日、明らかになった。

 マララさんは自宅があったパキスタン北西部スワト渓谷(Swat Valley)周辺で女子の教育権を訴える活動を行っていたが、昨年10月に通学バスに乗っていたところをTTPのメンバーに銃撃された。今月12日、襲撃後初めて公の場に姿を見せ、国連(UN)本部で教育の機会を求める活動の継続を誓うと共に、「テロリストに口を封じられることはない」と力強く演説した。

 17日に公開された書簡は英語で書かれ、元軍人のTTP幹部、アデナン・ラシード(Adnan Rasheed)氏がパキスタン北西部の報道関係者に送付したもの。AFPはラシード氏に近いTTP幹部に取材し、実際に同氏が書いたものだと確認した。マララさんに直接は送付されてはいない。

 書簡の中でラシード氏は「個人としては、マララさん襲撃事件は起きてほしくなかった」と述べる一方、マララさんがTTPに対し「中傷キャンペーン」を行っていると非難。「あなたが教育をめぐって大きな声を上げ、教育問題のために銃撃されたのだと国連ともども見せ掛けようとしていることに驚いている。教育は(銃撃の)理由ではない。問題とされたのはあなたのプロパガンダだ」「あなたは今、他人に命じられて語っている」などと主張している。

 ラシード氏はさらに、マララさんが英国植民地時代に創設された「体はアジア人だが英国かぶれの人間」を作る教育制度を普及させようとしていると批判。パキスタンの子供たちは「世俗的で悪魔的なカリキュラム」ではなく、イスラムを学ぶべきだと述べている。

 そのうえでラシード氏はマララさんに対し、「祖国に戻ってイスラムとパシュトゥン(Pashtun)の文化を身につけることを勧める。自宅に近いマドラサの女子校に通い、聖典コーランを学び、イスラムとウンマ(Ummah、イスラム共同体)のためにペンを用いなさい」と書いている。(c)AFP