【5月30日 AFP】米北西部オレゴン(Oregon)州オールバニ(Albany)の男子高校生が、自分の通う高校を襲撃する計画を立てていたとして逮捕され、28日に初出廷した。グラント・アコード(Grant Acord)容疑者(17)は、1999年にコロラド(Colorado)州のコロンバイン(Columbine High School)高校で起きた銃乱射事件に触発されて学校襲撃を企てたとされているが、ビデオリンク方式で行われた審問で、恐ろしい計画の詳細が明らかになった。

 アコード容疑者は、ウエスト・オールバニ高校(West Albany High School)で爆発物や銃を使った大量殺人を企てたとして、加重殺人未遂や破壊装置の製造・所持など6件の罪に問われている。今回の裁判では成人として罪を問われる。裁判所は28日、アコード容疑者の保釈に対し200万ドル(約2億200万円)の保釈金を設定した。

■綿密な襲撃計画 床下から爆発物

 宣誓供述書によると、警察は前週、アコード容疑者の自宅の寝室の床下から、パイプ爆弾2本、火炎瓶2本、市販の排水管洗浄剤を使った自作の爆弾2つを発見した。また、手書きと印刷で書かれた詳細な「大量殺人」計画も見つかった。

 計画は複数立てられており、その1つは次のようなものだった。

「朝7時30分、荷物をトランクに詰めて車で自宅を出発。1時限目の授業に出席した後、外に出て準備を開始する。カーステレオで大音量で音楽をかけ、トランクから出したダッフルバッグを片手に、もう一方の手にはナパーム弾を持って学校に向かって歩き出す。途中でバッグを落とし、ナパーム弾を投げる。それからバッグを開け、銃撃を開始。映画『バッドボーイズ2バッド(Bad Boys II)』の台詞をまねてクールに、『ロシアの死に神が来たぜ』と宣言する」

「3番入口がナパーム弾の爆発で使えなくなったり、鍵がかかっている場合は1番入口を目指す。ドアの前で発煙筒を投げ、歩いて中に入ったら学校中を銃撃しながら爆発物を投げて回る。特殊部隊(SWAT)に撃たれる前に自殺する」

■コロンバイン高校の事件を参照か

 アコード容疑者は、99年4月20日にコロラド州のコロンバイン高校(Columbine High School)で銃を乱射して13人を殺害、23人を負傷させた後に自殺したエリック・ハリス(Eric Harris)、ディラン・クレボルド(Dylan Klebold)両容疑者に自分をなぞらえていた。アコード容疑者の計画書には、準備するものとして黒のトレンチコートが記載されていたが、これはハリス容疑者とクレボルド容疑者の犯行時の格好と同じだ。

 また、プロパンガスを利用した爆弾やハイポイント(Hi-Point)の995カービン銃や連射式ショットガンなども必要な武器として記載されていた。

■学校で爆弾の作り方解説――級友が通報

 アコード容疑者の同級生で、計画を通報したトルーマン・テンプルトン(Truman Templeton)君(17)は、容疑者が学校で爆弾の作り方について説明したり、詳細な図解を見せたりしたことに不安を感じ、「何かがおかしい」と母親に話したことを地元テレビの取材に明かした。「冗談なのか、男らしさをアピールしたいのか、それとも本気なのか分からなかった。僕に言えるのは、1人が逮捕されるのと、防ぐことのできた悲劇で十数人の生徒が死ぬのと、どっちがいいかってことだけだ」

 容疑者の母親、マリアンヌ・フォックス(Marianne Fox)さんは、息子は連鎖球菌性小児自己免疫神経精神障害(PANDAS)と呼ばれる強迫性障害(OCD)を患っていると主張している。

 しかし、地元テレビKOINのウェブサイトに掲載された声明によるとフォックスさんは、「息子のことを嘆き悲しんでいるが、私たちの愛する地域社会を守ろうとする警察の努力は理解しており、支持する」と述べている。(c)AFP/Michael Thurston