【4月30日 AFP】世界最高峰エベレスト(Everest、8848メートル)を登山中にガイドと「恐怖の」乱闘になった欧州の登山家2人とカメラマンが、ガイドらと和解をした。当局者が29日、述べた。

 乱闘があったのは27日。スイス国籍で登山記録保持者のウエリ・シュテック(Ueli Steck)さんと、エベレストを4回登頂したイタリアのシモーネ・モロ(Simone Moro)さん、カメラマンのジョナサン・グリフィス(Jonathan Griffith)さんが、「未公開」の新ルートでエベレスト無酸素登頂を目指している最中だった。

 匿名を条件にAFPの取材に応じた米国人の登山家によると、登山家の2人とカメラマンは、ロープを設置するまで待機するようシェルパに指示されたが無視して先に進んだという。「そしたら氷が落下してきて、シェルパたちに当たった。それでシェルパたちが腹を立てた」

 同日後刻、登山家2人のテントに、ネパール人の集団が詰めかけ、テントに向け投石を始めた。登山家らがテントから出てくると、大声で口論が始まり、殴り合いが起きたようだったという。「恐ろしい光景だったよ──彼らは殺されかけたんだ」

 乱闘後、登山家たちはすぐに下山し、モロさんは病院で一夜を過ごした。警察当局者によると、モロさんにはけがはなく、モロさんはヘリコプターでベースキャンプに戻った。

 この乱闘についてモロさんはウェブサイトで声明を発表し、自分たちが原因で氷が落下した可能性は「極めて低い」と述べた上で、「制御不能の暴徒」に襲撃されたと語った。

 モロさんは、「彼ら(シェルパら)はいきなり攻撃的になり、登山家(自分ら)を殴ったり蹴ったりしただけでなく、石も投げつけた」と述べ、乱闘騒ぎが標高6500メートルのキャンプ2で起きたことを示唆した。

 さらにモロさんは、シェルパがロープを直すのをグループは一切妨害しなかったと付け加えている。

■「双方謝罪」で登山再開へ

 地元の警察当局が現在この事件について捜査を進めているが、29日午後には登山家とシェルパらが同席して和解会合が開かれた。ネパール観光省のスレンドラ・サプコタ(Surendra Sapkota)氏はAFPの取材に「双方が謝罪し、会合は友好的に終わった」と語った。

 またサプコタ氏は、「彼らは登山を再開することを決めた」と述べ、今後の乱闘予防にネパール政府が登山家とガイドらに行動規範を出すと語った。

 米国人記者でエベレストの年代記編者として著名なリズ・ホーリー(Liz Hawley)氏は、AFPの取材に、このような暴力事件が起きることは「極めてまれ」であると述べている。(c)AFP/Kyle Knight