【4月26日 AFP】フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島で25日夜、5月に行われる総選挙の遊説から帰宅途中の地元町長の一行が待ち伏せ攻撃を受け、12人が死亡、町長を含む8人が負傷する事件が起きた。同行していたフィリピン軍の地元司令官、リカルド・ジャラド(Ricardo Jalad)大佐が26日、明らかにした。

 襲撃を受けたのはヌヌンガン(Nunungan)のアブドゥルマリク・マナムパラン(Abdulmalik Manamparan)町長(62)と支持者らが乗ったトラック。5月13日に行われる総選挙の遊説からの帰路、ヌヌンガン近郊の人気のない山道で待ち伏せ攻撃を受けたという。

 銃撃で頭部を負傷したマナンパラン町長は、搬送された病院のベッドに横たわったまま報道陣の取材に応じ、孫娘が殺されたと語った。ジャラド大佐によれば、マナンパラン町長の娘も銃撃で死亡したという。

 ヌヌンガンはイスラム教徒が多数を占める町。野党・民族主義者国民連合(Nationalist People's CoalitionNPC)に所属するマナンパラン町長は、5月の選挙では息子を町長候補に擁立し、自身は副町長に立候補している。息子は今回の事件では被害を受けなかった。

 警察発表によると、5月の総選挙の選挙戦が公式に始まった2月以降、これまでに45件の暴力事件が発生し、30人が死亡している。2009年の前回総選挙では、同じくミンダナオ島で、州知事選に絡んで地元の政治家やジャーナリストら58人が拉致され、殺害される事件が起きている。(c)AFP