【4月20日 AFP】(一部更新)ボストン・マラソン(Boston Marathon)爆発事件の容疑者兄弟の人となりをうかがわせる情報が、インターネット上に残されていたことが明らかになった。

 死亡したタメルラン・ツァルナエフ(Tamerlan Tsarnaev)容疑者(26)のユーチューブ(YouTube)のロシア語のページには、イスラムの教えについてのサイトなどへのリンクが、「テロリスト」、「イスラム」などと分類して多数張られていた。

 別のウェブサイトによると、タメルラン容疑者はロシアのチェチェン(Chechnya)共和国出身で、紛争から逃れるため1990年代の数年間をカザフスタンで過ごした後、難民として米国に入ってコミュニティー・カレッジで工学を学んでいた。ボクシングが好きで、米ユタ(Utah)州で開かれるボクシングの大会に向けて練習するため、カレッジを1年間休学したこともあった。ボクシングで五輪を目指したいが、チェチェン共和国は独立していないため、ロシアよりも米国の代表選手に選ばれたいと話していたという。

 このウェブサイトには、「僕は米国人の友人が一人もいない。僕はあの人たちが理解できない」という言葉が付けられたボクシングをする同容疑者の写真が掲載されていた。またこのウェブサイトによると、タメルラン容疑者は「とても信仰的」で「アルコールは飲まない」が、好きな映画は風刺映画『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan)』で、イタリア人とポルトガル人のハーフだという金髪のガールフレンドと一緒に写っている写真には「彼女は美しいだろう!」というキャプションが付けられていた。

■逃亡中の容疑者は「とてもいい子」

 一方、現在逃亡中のジョハル・ツァルナエフ(Dzhokhar Tsarnaev)容疑者(19)は、フェイスブック(Facebook)に似たロシアの交流サイト「フコンタクチェ(Vkontakte)」にページを持っていた。

 これによると自らを「イスラム教徒」と位置づけ「人生の目的は成功とお金」としていた同容疑者は、1999年から2001年までロシア南部ダゲスタン(Dagestan)共和国の首都マハチカラ(Makhachkala)で小学校に通い、2011年に米マサチューセッツ(Massachusetts)州の公立高校を卒業したという。

 ダゲスタンは、イスラム教への傾倒を深める分離独立派とロシア軍との間で1994年以降2度の紛争が起きているチェチェン共和国の北カフカス地方に接しており、容疑者兄弟の一家は紛争中にこの地を離れて中央アジアに逃れたようだ。

 ジョハル容疑者のサイトにはチェチェンやイスラム教についての情報のほか、「ダゲスタン、チェチェン、イングーシ(Ingushetia)共和国出身の3人の男が乗っている車を運転しているのは誰?答えは警察官」などといった、北カフカス地方でイスラム教徒が不当な扱いを受けていることを皮肉ったジョークもあった。

 幼さが残る顔立ちのジョハル容疑者は、高校時代はレスリングのスター選手で、一生懸命で優しいとみられていたという。容疑者兄弟の近所に住んでいたという住民は米CNNに、「(ジョハル容疑者は)本当に本当にいい子だったよ。取材をすれば『あの子がこんなことをするなんて信じられない』と言う人が出てくるだろうが、私もその一人だ」と述べた。(c)AFP