【4月18日 AFP】米ボストン・マラソン(Boston Marathon)を狙った15日の爆発事件で、ボストンの医師たちは爆発による負傷者たちを救うため脚部切断という、つらい任務に取り組んでいる。これまでに行った脚部切断手術は13件に上る。

 脚部切断手術を終えたばかりだというマサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)の外傷外科医ジョージ・ベルマホス(George Velmahos)医師は、手術を「爆弾がもたらした忌まわしい仕事」と評した。

 負傷者の搬送先となったボストンの病院や医療機関の外科医たちは、こうした苦渋の決断を下した経験はある。それでも、一度にこれほど多くの手術を迫られたことはない。

 負傷者のなかでも爆発当時にゴール付近に居合わせた2人は、両脚を切断しなければならなかった。この2人は、マラソンに参加していたボストンの美容師セレステ・コルコラン(Celeste Corcoran)さん(47)と、現場から車いすで搬送される姿がメディアで報道されたジェフ・バウマン(Jeff Bauman)さんだ。

 ベルマホス医師によれば、搬送されてきた時の2人は両脚がめちゃくちゃな状態で肉や皮膚が垂れ下がっていた。このため、心痛む両脚切断という処置を遂行しなければならなかったという。

 他にも2人のような重傷者は多数いることから、今後も脚を切断せねばならない患者は増えるものとみられる。

■苦しい決断迫られる医師たち

 医師にとって平時でさえ深刻な四肢切断という決断は、多数の死傷者を出したテロ攻撃の後では、ことさら重苦しいものだ。

   「ある患者の脚を切断するという非常に難しい判断を下す場合、通常は他に医師2人の同意を求める」と、ボストン・メディカルセンター(Boston Medical Center)の外科医トレーシー・ディチャート(Tracey Dechert)医師は説明する。そうすることで、本当は脚を切断する必要はなかったのではとの不安を払拭(ふっしょく)して手術に臨めるのだという。

 コルコランさんとともにボストンマラソンに参加していた妹のアカボさんによると、両脚切断手術を終えて麻酔から覚めたコルコランさんは、アカボさんがゴールするところを見られなかったことが残念だと語ったという。報道陣らに対しアカボさんは、今後コルコランさんには長いリハビリ生活が待ち受けており、彼女の人生は非常に困難なものになるだろうと語った。

 その一方で、ボストン・メディカルセンターのピーター・バーク(Peter Burke)外科部長は、負傷者の家族もショックを受けており、家族に対しても早急な精神的ケアが必要だと指摘した。(c)AFP/Tim Witcher