【3月31日 AFP】仏パリ(Paris)で30日未明、国立自然史博物館に男が侵入して展示されていたゾウの骨格から牙をチェーンソーで切り落とし、持ち去る事件が起きた。このゾウはかつて、フランス国王ルイ14世(Louis XIV)が所有していたものだという。

 博物館の職員によると、逃走しようとしていた男は付近の路上で逮捕され、盗み出された約3キログラムの牙は博物館に戻された。警察は犯行の動機などについて明らかにしていないが、欧州の博物館や動物園ではここ数年、象牙が盗難に遭う事件が相次いで発生している。

 骨格が展示されていたゾウは、1668年に当時のポルトガル国王から「太陽王」と呼ばれたルイ14世に贈られたもの。ただし牙はこのゾウ自身のものではなく、19世紀に後から取り付けられたものだった。

 20世紀半ばに数百万頭だったアフリカのゾウの生息数が1980年代末までに約60万頭にまで落ち込んだため、1989年以降、象牙の国際取引はごく一部の例外を除いて禁止されている。しかし、「白い金」と呼ばれる貴重な象牙を手に入れるためのゾウの密猟と象牙の違法取引はその後も続いている。(c)AFP