【12月3日 AFP】オーストラリア・北部特別地域(Northern Territory)の町ヌーランボイ(Nhulunbuy)近郊で1日、9歳の男の子が体長4メートルのワニに襲われ、水の中に引きずり込まれる事件があった。地元警察当局によると、このワニには地元住民が餌をやっていたという。

 事件が起きたのはヌーランボイの南方80キロ南にあるポート・ブラッドショー(Port Bradshaw)。子どもたちが水路で泳いでいたところ、男児1人がワニにかみつかれた。そばにいた大人が手銛(ヤス)をワニに投げ付けたが、男児は水中に引きずり込まれ、3日朝になっても見つかっていない。

 豪州北部では先月も、家族と遊泳中の7歳の少女がワニに襲われて行方不明になる事件があったばかり。この事件では、捜索の末に射殺されたワニから人間の遺体の一部が発見されている。

■住民が餌やり、保護計画の見直しも必要か

 北部特別地域警察によると、今回事件を起こしたワニは、20年ほど前からポート・ブラッドショー付近にすみついている高齢の個体だという。近隣の住民がときどき餌を投げ与えたり、魚の死がいを置いておくなどしていたといい、AFPの取材に応じた警察関係者は「賢明とはいえない行為だ」と述べた。

 オーストラリア北部に広く生息するイリエワニは最大で全長7メートル、体重1トン超にまで成長する。1970年代に保護対象動物となったことで個体数がどんどん増え、それにつれて人間との遭遇事例も増加している。

 ダーウィン(Darwin)を拠点に活動するワニの専門家、アダム・ブリトン(Adam Britton)氏はオーストラリア放送協会(ABC)ラジオに対し、頭数が爆発的に増加したイリエワニについては新たな管理計画を導入する時期が来ているのではないかと語った。(c)AFP