【11月8日 AFP】中国共産党の重慶(Chongqing)市トップを今年3月に解任された薄熙来(Bo Xilai)氏の妻、谷開来(Gu Kailai)受刑者による英国人殺害事件で、被害者となった英国人実業家は薄氏夫妻について英情報当局に報告していた情報提供者だったと、6日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)が伝えた。

 事件は2011年11月、谷受刑者が使用人と共に、英国人実業家ニール・ヘイウッド(Neil Heywood)氏(当時41)を同氏が滞在していた重慶市のホテルで毒殺したもの。

 WSJ紙はヘイウッド氏の友人や、当時および現在の英高官らの話を引用している。それによるとヘイウッド氏は、中国共産党の最高指導部入りを有力視されていた薄氏夫妻との近しい関係から得た一家に関する情報を、英情報局秘密情報部(Secret Intelligence ServiceSIS)、通称「MI6」に提供していたという。ヘイウッド氏が薄氏と親しくなったのは、薄氏が大連(Dalian)市トップだった1990年代とされる。

 またヘイウッド氏を知る人びとは、同氏が中国在住外国人の間では控えめだったが、架空の英国人スパイ、ジェームズ・ボンド(James Bond)のコードナンバー「007」のプレートをつけた銀色のジャガーに乗っていたと語っている。

 自分のコネクションを生かして、中国の官僚制度の対処法などについて助言するコンサルタント会社を経営していたヘイウッド氏は、09年にある人物と接触して以降、「この人物と定期的に会い、薄氏の私事に関する情報を提供するようになった」という。後にこの人物はヘイウッド氏に対し、自らがMI6の情報員であることを認めたとされる。

 しかしヘイウッド氏が殺害されるまでの2年間で、同氏と薄氏一家の関係は悪化。最後の1年は薄氏に会っていなかったとみられる。その間、ヘイウッド氏はストレスに悩まされているようで体重は増え、喫煙の回数も増え、またメールや電話が監視されているのではないかと気にしていたという。中国出国を準備するようになったヘイウッド氏は、同氏への薄氏一家の負債を回収しようと重慶市へ行ったとみられているが、当日話した友人は、ヘイウッド氏がトラブルになったと言って怖がっていたと語った。

 ヘイウッド氏が殺害された事件では8月に、薄氏の妻・谷受刑者の死刑判決(執行猶予2年付き)が確定している。また薄氏本人は現在、職権乱用などに関する裁判開始を待つ状態となっている。

 WSJの報道に対する中国、英国両政府関係者からの談話は得られていない。(c)AFP