【10月8日 AFP】オランダ各地の牧羊場で最近、ヒツジが群れごと盗まれる前代未聞の事件が相次ぎ、警察が「羊肉マフィア」の行方を追っている。

 地元警察当局によると、ヘルダーランド(Gelderland)州南部ではこの数週間で数百匹のヒツジが「消えた」。直近の事件では、ドイツとの国境に近いナイメーヘン(Nijmegen)の牧草地から雌ヒツジ41匹がいなくなった。

 オランダ農業園芸組織連合会(LTO)のニコ・フェルトイン(Nico Verduin)氏によれば、ヒツジの盗難は同国東部、南部、中部で多発しており、4月以降、既に500匹以上の行方が分からなくなっているという。盗まれたヒツジたちは密輸出されたか、食肉用に違法解体されて国内各地の精肉店に卸されたのではないかという。

 1度に大量のヒツジを盗んでいくのは容易ではないことから、警察やTLOでは、牧羊経験のある者たちによる組織的な犯行とみている。オーストラリアやニュージーランドといった牧羊国の羊肉生産が減少していることから、オランダではこの1年で羊肉の価格が15%も上昇している。

 そんな中、わずかながら明るいニュースもあった。ナイメーヘンの牧草地や飼育小屋で前月29日、警察がいなくなったヒツジ309匹を発見したのだ。

 だが、容疑者は特定できていない。フェルトイン氏は「非常に心配している。朝起きて牧場に行ったらヒツジが全て消えていた、なんて気持ちはもう味わいたくない」とAFPの取材に語った。(c)AFP