【9月19日 AFP】フランス・パリ(Paris)郊外ナンテール(Nanterre)の裁判所は18日、ウィリアム英王子(Prince William)の妻、キャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)のトップレス写真を掲載した仏芸能誌クローザー(Closer)に対し、写真掲載の差し止め命令を出した。

 裁判所は24時間以内に関連する全ての写真を英王室に引き渡すことも命じ、従わなければ1日あたり1万ユーロ(約103万円)の罰金を科すとした。また、問題の写真を誌上や自社のウェブサイトで再利用することや販売することも禁じた。従わない場合は違反1件につき1万ユーロの支払い義務が生じる。

 クローザーや、アイルランドの大衆紙「アイリッシュ・デイリー・スター(Irish Daily Star)」、イタリア誌「Chi」による写真掲載をきっかけに、インターネット上に広まった画像は今回の差し止め命令の影響は受けないとみられる。

 南太平洋諸国歴訪中のウィリアム王子夫妻は、今後のプライバシー侵害の抑止力になるとして裁判所の判断を歓迎する声明を出した。

 夫妻がクローザーと写真の撮影者を刑事告訴したことを受けて、仏検察当局は18日、予備捜査を開始した。裁判所の禁止命令の文言から判断すると、写真の撮影と掲載は夫妻のプライバシー侵害に当たるとの申し立てをめぐり、本格的な捜査が行われるのはほぼ間違いない。

 クローザーとカメラマンが有罪になれば最大で4万5000ユーロ(約460万円)の罰金と禁錮刑が科される可能性があるが、プライバシー保護法違反で禁錮刑が言い渡された例はなく、罰金も上限よりはるかに低い金額になることが多い。

 問題の写真の撮影者は公表されていない。仏法律は情報源の秘匿を認めていることから、クローザーが公表を余儀なくされることはなさそうだ。しかし英国のタブロイド紙はカメラマンの正体を探り始めており、18日の大衆紙サン(Sun)は、ジャック(Jacques)という名のフランス人かスコットランドのフリーカメラマンではないかという記事を掲載した。

 クローザーに続いて問題の写真を掲載したイタリア誌「Chi」の編集長は、英王室の現代的な一面を示す正当なニュース写真で、公道から撮影されたため法律にも違反していないと主張している。

 一方、アイリッシュ・デイリー・スターは編集長を停職処分にした。またアイルランドのインディペンデント・ニュース・アンド・メディア(Independent News and Media )と共同で同紙を所有する英国のノーザン・アンド・シェル(Northern and Shell)が、トップレス写真掲載を受けて提携解消の方針を発表したことで、同紙の存在自体が危ぶまれている。(c)AFP/Angus MacKinnon