【9月3日 AFP】カナダ・ケベック(Quebec)州で前月、倉庫に保管されていたメープルシロップ、3000万ドル(約23億5000万円)相当が盗まれたことが発覚し、州警察が捜査を開始した。

 盗まれたメープルシロップは重さ1000万ポンド(約4500トン)分で、現場からは空になったシロップの容器が見つかった。犯人らは闇市場で販売する目的で、その場でシロップを別の容器に移し変えたとみられる。

 事件を受け、約1万のメープルシロップ生産者が加盟するケベック・メープルシロップ生産者連盟(Federation of Quebec Maple Syrup Producers)のセルジュ・ボーリュ(Serge Beaulieu)会長は8月29日、「連盟は常に細心の注意をもって生産者の収獲物保護に務めている」と述べ、シロップが盗まれた倉庫は「定期的に関係者が巡回し、普段は鍵がかけられ周囲にも柵が張り巡らされていた」と声明で発表した。

 ボーリュ会長は、盗まれたメープルシロップが市場に出回れば、メープルシロップ産業全体が影響を受けるとの懸念を示し、何としても犯人を特定せねばならないと語った。

 ケベック州は、「メープルシロップのサウジアラビア」とも呼ばれ、世界市場の70~80%を生産している。今年不作だった米国の生産減少分も、ケベック産シロップが埋め合わせる手はずとなっていた。

 ケベック・メープルシロップ生産者連盟のシロップ在庫は、不作時に市場に在庫を供給する役割を果たしており、世界のメープルシロップ市場の戦略的備蓄庫の役割を担っている。(c)AFP