【8月31日 AFP】英国のロンドン・メトロポリタン大学(London Metropolitan University)が留学生ビザのスポンサー登録資格を政府から剥奪され、同大の留学生2000人以上が国外退去処分となる恐れが出ている。

 英国への大学留学にあたっては、欧州連合(EU)圏外の国からの留学希望者は留学先の大学をスポンサーとして学生ビザを取得する必要がある。だが、英内務省国境庁(UK Border Agency)はこのほど、半年間の監査の結果メトロポリタン大には英語力が必要な水準に達していない学生がいたり、大学当局が学生の正確な出席率を把握していないなど深刻で組織的な欠陥がみられると指摘。無作為調査でも英国在留資格のない留学生が25%以上いたとして、同大の学生ビザ・スポンサー資格を取り消した。

■60日以内に転学か国外退去

 全英学生組合(National Union of StudentsNUS)によると、この措置により現在メトロポリタン大に在学中のEU圏外からの留学生は、60日以内に英国内の他の大学へ転学しなければならない。受け入れ先が見つからない場合は国外退去処分となる可能性がある。

 メトロポリタン大は留学生数では英大学の上位20位以内に入り、政府統計によれば2010年度にはEUからとEU圏外から計約6000人の留学生を受け入れている。

 大学側はウェブサイトで、スポンサー資格取り消し処分の影響は「非常に深刻で広範囲に及ぶ」とした上で、最優先で在籍する学生と入学希望者に対する義務を果たすよう努力すると約束。マルコム・ジリーズ(Malcolm Gillies)副学長は、国境庁が示したスポンサー資格剥奪の根拠に「説得力はない」と述べ、処分の不服申し立てを行う方針を示した。

 また、事態を受けて英国大学協会(Universities UK)は、学生ビザが無効となるメトロポリタン大の留学生たちを転学させるためのタスクフォースを発足させた。

 英国の留学生市場は推定140億ポンド(約1兆7400億円)規模に上り、大学にとっては有力資金源となっている。動揺は国内他大学へも広がり、国境庁は直ちに問題があったのはメトロポリタン大だけだと発表した。(c)AFP/Judith Evans