【8月2日 AFP】23年前に失踪し、家族も死んだものとばかり思っていたバングラデシュの男性が1日、故郷の村に驚きの帰還を果たした。バングラデシュ・マイメンシン(Mymensingh)県北部のビシュヌランプール(Bishnurampur)村には、この男性や涙を流して喜ぶ家族を一目見て祝福しようと数百人が詰め掛けた。

 モスレムディン・サルカル(Moslemuddin Sarkar)さんは、1989年から行方が分からなくなっていた。AFPとの電話取材に応じたサルカルさんの話によると、1989年に家族に知らせることなくインドに不法入国。その後、より良い働き口を求めて1997年にパキスタンへ渡ろうとしたところ当局に拘束され、不法入国の罪で15年間服役していたという。

 刑務所では殴打されたり、拷問を受けたりしたという。故郷の村に宛てて数十通の手紙を書いたが、一通も投函されておらず、そのことをずっと知らなかったそうだ。「帰郷の希望を全くなくした時期もあった」が、今は母親が存命中に再会を果たせ「とても嬉しい」と話した。

 サルカルさんの帰郷は、赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)の支援で実現した。赤十字関係者によれば、サルカルさんがパキスタンの刑務所にいるらしいとの情報をつかんだ家族が、ICRCに支援を要請したのだという。(c)AFP