【7月13日 AFP】アフガニスタンで女子生徒らが集団ガス中毒のような症状を相次いで訴えた件について、国連の支援機関は、少女たちが拷問を受けて、体調不良の証言を強制された可能性があるとの危惧を表明した。

 アフガニスタン北部タハール(Takhar)州の学校では最近、失神したり体調不良を訴える女子生徒が続出し、その数は数百人に上っていた。対応を迫られた政府は、少女の教育に反対するイスラム強硬派の旧勢力タリバン(Taliban)が、女子生徒たちを狙って給水源などに毒を混ぜたり、毒ガスを散布したことがあると強く主張し、この非難は世界中に報道された。

 こうした中、6月には容疑者とされる人物が一斉に拘束された。アフガニスタン国家保安局(NDS)は6月6日に記者会見を開き、女子生徒2人を含む15人の容疑者が毒の散布などへの関与を自供したと発表した。

 しかし、ここへ来て国連アフガニスタン支援団(United Nations Assistance Mission in AfghanistanUNAMA)の人権担当チームが、「自白は疑わしい」として異議を唱えた。

 同チームを率いるジェームズ・ロードヘーバー(James Rodehaver)氏は、「国連では、学校で毒が使用されたという主張の裏付けとなるような法医学的証拠をつかんでいない。タハール州を含むアフガニスタン各地のNDS施設の中から反政府活動が疑われる人物を拷問し、自白を強制したのではないかという懸念をUNAMAは表明している」と述べた。

 同氏はまた「タハールの件に関連し、2人の女子学生を含む容疑者の自供内容をNDSが公にしたことも深く憂慮する。これは推定無罪の原則を含めて、被告が公正な裁判権を受ける権利の侵害である」とも非難した。

 アフガニスタン政府は、容疑者らが拷問を受けたという見解を否定している。(c)AFP/Lawrence Bartlett